北海道開拓記念館(2020年6月18日)

北海道にしては暑い夏の日

神戸から来た両親と北海道開拓記念館に行った

園内を一通り見て歩き

ベンチで一休みしていると

園内を回遊する馬車が通りかかった。

ろばが引いていた。

「ろばがかわいそうやな」

父が言った

ろばが馬車を引くのはあたりまえに

見える光景だった。

動物愛護などには何の関心もない父だった

カサブランカ(2020年6月16日)

晩御飯のメニューに困ったら

カレーを作るように

詩が書けなくなったら

花を歌えばいい

最近になって訃報を知ったという

亡妻の友人から

フラワーアレンジメントが届いた

カサブランカを中心に

白い花々でまとめられていた

毎日水やりをしていると

つぼみだったカサブランカが

ひとつ、またひとつと花を開いていき

薄緑色のさやが開くと白色に変わっていく

その変化を見ていて2週間が過ぎた

最後のつぼみが開いて、もうじき

茶色になっていきそうだ

その変化は人の命のうつろいのようにも

見える

13歳のときに知り合ったという友人は

今ごろ思い出をかみしめていることだろう

北国の冬の校庭で

雪合戦に遊び興じた

少女の日々の思い出を

涙(2020年5月31日)

ここに一組の男女がいる

わけがあって一緒にはなれない

そこで

二人は天国に行ったら

一緒になろうと

約束をした

しかし天国がどこにあるのか

わからない

そう語り合う二人の目から

涙が流れ

頬をつたい

テーブルに落ちた

限りない真実が

涙の中に輝いていた

1年生1学期中間考査(2020年5月24日)

いつまでも忘れない思い出がある。

中学1年生1月の中間テスト。

自分なりの準備でのぞんだら、さんざんの成績だった。

弁当の時間に食べていると、数学の先生から呼び出しが

かかった。

説教された。

「これからだんだん難しくなる。今ならまだ間に合う。勉強しなさい」

こんな話を聞いて、席に戻ると、

涙が出てきて、残りの弁当を食べられなくなった。

その日、いつものように帰宅して

いつもとちがって、勉強を始めた

怖いような怖くないような(2020年5月24日)

コロナの致死率はどのくらい?

毎日の新聞には感染者数と死亡数がのっている。

それを見ると、致死率は5パーセント。

ところで、感染者数というのは、コロナ感染と

検査で診断された人の数のことだ。

ということは感染しても症状がなかった人とか

風邪かなと思っているうちに治った人を含めると

感染者はもうすごいたくさんの数になる。

無症状や軽症の人を含めた感染者数と死亡数からは

致死率は0.05パーセントくらいらしい。

ボールペン(2020年5月9日)

あれほど長い時間を一緒に過ごしていたのに

思い出せることは断片的なことばかり。

そんな断片を拾い集めようと

報われるとは限らない営みを

やめずに続けよう。

今夜はまたひとつちいさなかけらを見つけた

宝物のように大切にするのだ。

ボールペンはね

必ず、ノック式の芯をしまうのよ。

私が無頓着にボールペンの芯を出しっぱなしに

しているのを見かねてこんなことを言っていた。

芯を出したままなら

服を汚したり、

胸のポケットにさせば

ポケットに色がついてしまう。

そういう人をときに見かけることがある。

その時から

ボールペンの芯は必ず

しまう習慣を身に着けた

公園にて(2020年4月26日)

名も無い町に住む高校生二人

この男女は同じ高校にかよい

恋仲なのだ

学校は休校

おまけにステイホームで

会うことができない

知恵を絞り

ジョギング姿で夕方に

公園で会うことを決めた

ジョギング姿でそれぞれが

公園に向かった

誰もいないのを確かめてから

ブランコに乗った

ゆらりゆらり

二つのブランコが同期して

揺れながら

話し合うのだった

「私たちはどうなるんだろう」

「わからない」

「不安だな」

「不安だわ」

「ただ私たちが愛し合っていること。

このことは絶対に間違いはないの」

「何がどうなったって、これだけは間違いがないのよ」

ブランコが止まり

二人はめいめいの方角へと

走り去った

オンライン・キス(2020年4月25日)

1962年に流行した歌

電話でキス

というタイトルの歌がある

ポール・アンカが歌った

原題は

キス・オン・ザ・フォン

そんな古い歌を思い出した

オンラインで飲み会や帰省ができるのなら

オンラインでキスだってできるだろう