帰り道(平成25年4月23日)

土曜日の20日、夕方に大阪へ出かけた。

JR京都線を新快速電車に乗って、30分足らず。

沿線風景にときどき目をやりながら、車酔いを

しないようにときどきは目をつぶりながら。

疾走としかいいようのない猛スピードで電車は

走った。

広い広い大阪駅の地下街を歩いて、目的の

地下鉄の駅から1駅だけ乗った。地下鉄の券売機

の使い方がわからず、切符1枚を買うのに、しばし

とまどう。

着いた駅から地上に上がると、うすら寒く、小雨

混じりの、人通りの少ないビル街を歩いて、目的の

ビルへ。

椅子にじっと座って、話を聞く長い時間が終わった。

帰り道へ。

JR大阪駅から、新快速電車に乗り、京都駅に向かう。

大阪駅を電車が出発するとき、

反対側へ行けば、ふるさと神戸に着くのだと思った。

そうだった、ずっとずっと昔、帰り道は大阪から神戸へ

向かった。

それから長い時間が過ぎた。今は帰り道は逆方向なのだ。

一駅ごとに神戸は遠ざかり、京都が近づく。

三宮の街路、通いなれた学校、住んでいた家。

全部がそのまま残っているのに、自分は逆方向へ

進む電車に乗って、座席にもたれかかり、

母のいない神戸は、もう神戸ではなくなったのだった。