年の残り(2019年12月30日)

ああもう年末、今年が終わる
終わったとたん、新年が始まる
こういうのは終わりとか始まりじゃなくて
単なる区切りなのではあるまいか

時が一本の糸のようなものなら
糸は途切れ目なくずっとずっと続いていく
そんな糸に引っ張られて
われらもずっとずっと続いていく

ある日、われらの糸は断ち切られる
もういいんだ 終りにしようぜ

詩集『ちいさなユリと』(2019年12月30日)

娘とふたり向かい合って夕食をとっていた
はてしない時をさかのぼり
『小さなユリと』
という名の詩集を思い出した

幼い女の子を育てる男が書いた詩集である
シュミーズを洗い、パンツを洗いと
歌う

もし私の娘がユリと同じ年頃なら
きっと私も作者黒田三郎と同じように
娘に夕飯を食べさせ、風呂に入れ、
寝かしつけるだろう

目の前の娘は二十歳も越えた年頃なのだが
私にとってはユリと同い年の女の子に
重ねたほうがしっくりとくるものがある