冷たい手(2020年10月21日)

冷たい手であった

まだ秋は始まったばかり

日差しは暖かなのに

カイロで温めなければ

かじかんでしまう

冷たい手であった

食べられない病気にかかり

体温を維持するためには

自分の体を燃やし

それでも体温は上がらず

カイロが頼りの

冷たい手であった

診療所のスタッフ皆で

手を握り

温めて

夜の闇をついて家路に送り出した

いつの日にか

成人し

温かな手になって

尋ねてくれることを

願った