花は白(2017年9月20日)

色とりどりの花は美しい

それでも白い花の美しさには

とうていかなわない

一口に白と言っても

色合いの微妙なちがいがあって

それぞれに美しい

ところで

ある男が

恒例の市に行って花を買い求めてきた

毎月21日に開かれる弘法市である

熱心にすすめられて

見事なまでに美しい欄であった

夜は室内に置き

昼間には太陽の光に当て

水やりもほどよくおこなった

ためつながめつ

その美しさに心から満足をおぼえた

妻も同調し

夫婦二人がともに

よい買い物をしたと喜んだ

ところが

ある日、隣の婦人が来て言うのだった

それは本物の花とちがうわよ

造花でしょう

夫婦は驚いた

仔細に見れば本物そっくりの造花だと

わかったのだった

悔しくて悔しくて

本物のにせ物と

つぶやくしかなかった