ひとり黙々と

 50万部も売れている本。確かに1分間の勉強で頭が良くなるなら、こんなにいいことはない。たとえばある英単語を覚えることを例にあげると、その英単語を一瞬見つめることを何度もくりかえす方がよく覚えられるのだという。
 一理ありそうだ。しかし考えてみると、その英単語に対する興味や好奇心の強さがないと何度見つめてもおぼえられない気がする。
 記憶するには書いてみたり、何度も読んでみたりする一人で黙々とする作業が欠かせない。ずっと昔のことを思い出す。京都大学教授の多田先生がある講演の中でこんなことを話した。
「注意一秒けが一生」というのはヘンですね。注意一秒をずっと続けないといけないわけだから。注意一生けが一生でしょう。
 この話と同じことではないかしら? 1分間勉強をずっとずっと続けないと知識が身につかないのだから。