やる気

 やる気のあるなしが気にならないのが実はいちばんいい状態だ。やる気のあるなしを自分の胸に手を当てて、毎日、あるとかないとか確かめるのは不便なことだ。電車なら最初に切符を見せないと乗せてくれない。しかし、自分自身のことだから、やる気の切符はいらない。やる気があろうとなかろうと、とにかく、やり始めればいい。やり始めたら、だんだんやる気がわいてくる。やがてやる気が燃えあがってくる。自分自身の中で燃えているやる気を感じる瞬間が訪れる。その時が来るまで、やり続けるだけだ。

 やる気を物体にたとえれば、どんな物体だろうか? 樹木のような形をしていて、大きく枝を空に向けているのだろうか? あるいは海深くを泳ぐマグロのような流線型をしているのだろうか? 新幹線のような形、あるいは、宇宙ロケットのような形をしているだろうか?

 それは自分の心に中にある大切な部分である。毎日、励ましの言葉、ねぎらいの言葉、いたわりの言葉、ほめ言葉をかけてやると育ってくる。
それはとてもせんさいな心の働きである。育ち始めた若葉のように、風雨からも直射日光からも守ってやらないとならない。
  それは待っていても、やって来ない。
  それはときどき休みたがる。
  そのときは休ませてあげよう。