夏と昆虫採集(平成27年2月4日)

遠く離れたフランスの

遠い時代に生まれた

サルトル少年は

夏のバカンスで避暑地へ行き

他の少年が虫取りに興じるあいだ

部屋にこもってひとり

百科事典を読みふけった

彼の心をとらえて放さなかったのは

この世界の成り立ちを知らずにはいられない

衝動であった

百科事典に満足したとは思えない

ますます渇望を抱いたことだろう

渇望をいだいた者だけが

愛知へと至る道を歩きはじめる

そのような人物であった