小学校の授業で
いちばん楽しい時間は
家庭科だった
運針も
調理実習も
ちりとり道具作りも
そんな話を亡妻にしたら
「そのわりには今はあんまり
家の用事をしないわね」
と言われてしまった
きっと
自分の思いは
過ぎ去った小学生の日々を
懐かしむところに
あって
家庭科が楽しいというのは
思い出の糸口だった
もし亡妻にもう一度語らせるなら
「小学生の頃って
誰にとっても懐かしい思い出があるわね
つらい思い出だってあるし
私にもいろいろある
それにしても家庭科が好きって意外だわ
そういう才能があるのだから
今、発揮したらいいんじゃないのかな」