年末の30日に実父が熱を出した。念のため病院で診てもらったら、
肺炎と診断された。入院治療もできるし、自宅療養でもかまわないと
言われた。しばし考えて自宅療養を選んだ。
抗生物質が効果を出し始めたようで、熱はしだいに下がり、
父に活気が戻ってきた。大晦日の夜、紅白歌合戦と行く年来る年
を見てから床に就いていたようだった。除夜の鐘の音を聞きながら、
前日の内科診察の基本にのっとった丁寧な検査の進め方が思い出された。
元旦、西の方角を見ていると、小倉山に沈む月が見えた。
昇りくる太陽に向かって、新年おめでとうと言い、
沈んでいく月に、ご苦労さまと言いながら、
自分にも「今年もがんばろうね」と
「去年もがんばったね、ご苦労様」
と言わずにはいられなかった。