恩師は逝きぬ(平成27年3月20日)

急に春めいた日に

恩師は息をひきとった

中学1年から高校3年生まで

数学を教えてくれた人である

中学生になり

4月のなまあたたかい季節なのに

長ズボン、詰襟、丸刈り、電車通学へと

拘束としかいえない日々が始まった

半ズボン、ランドセル、給食が懐かしく

帰宅すると

昼間の疲れがどっと出るのであった

迎えた初めての数学の試験

最下位の点数

昼に弁当を食べていると

職員室に呼び出された

これから因数分解が始まり

もっとむずかしくなる

しかし今ならまだ間に合う

こういって叱られた

教室にもどり残りの弁当を前にして

涙が流れて食べられなくなった

その日から明けても暮れても

数学の日々が始まった

 

叱られたのではない

叱ってくれたのだ

叱ってくれたのではない

励ましてくれたのだ

今の自分には恩師の気持ちがわかる