時計がおもしろくなくなった

 時計といっても卓上時計のことだ。壁掛け時計や腕時計のことではない。この頃の卓上時計はほとんどがデジタル時計である。家電量販店の店頭には種々の製品が並べられている。多少の外観の違いはあっても、文字盤を見れば、まったく同じに見える。
 0から9までのどの数字も表示するためなのであろう。どの時計も見ても、数字の形は同じである。
 壁掛け時計ならそれぞれ数字の字体の違いがあって、個性的に見える。大きさも大小さまざまだ。それに比べて、デジタル置時計の大きさはそれほど変わりがない。肝腎の時計本体が同じなのではないだろうか。
 同じ置時計でもアナログ時計なら文字盤や数字の字体や長針・短針の形にも違いがほどこされている。さらには外観も大きく異なるものがある。
 時刻さえわかれば用が足りるわけだから、字体がどうの、文字盤がどうの、という方がおかしいと考える人が大半を占めているのだろう。
 デジタル時計は今始ったばかりだ。これから長い年月が過ぎれば、もっと多種多様な形の美しさを見せてくれるのかもしれない。