東大駒場に夕日が沈む(平成28年11月13日)

渋谷駅の賑わいあるいは喧噪から

電車で6分

降り立つ駅は東大駒場

学園にはつきものの楽器音もなく

なんという静けさ

正門前が袋小路で

クルマが通過できないために

できあがったこの静けさ

 

けれど静けさにしみじみと

さびしい気持ちにさせられた

カラマツ林どころではない

若者の姿は見えるけれど

ちらほらと見えるのだが

その数の少なさ

 

講義が終われば交わす口数少なく

めいめいの方向に帰ってしまうのだろうか

学園祭前だというのに

この人影の少なさ

 

思えば教室と食堂と図書館

これだけが学生の居場所

こんなのでいいんだろうか

 

東大駒場に来ることはこれからだってあるかもしれない

けれど二度と学生として来ることはできない

当たり前だ

卒業とは後戻りできないこと

 

構内の片隅にバラがいく株も咲いているのを見つけた

見たこともない珍しい品種らしく

高貴な姿をしている

さびしい風景を打ち消してくれた

ああ 今こそ夕日が沈む