雪景色

 京都の嵯峨に落柿舎はある。松尾芭蕉の弟子の去来という人の住まいと伝えられている。元々は2キロほど南の桂川べりに建っていた。川の増水があれば浸水していまうのを避けるために内陸部に移転した。移転した先が現在地だ。三畳、四畳半、台所、風呂、便所。こじんまりとまとまっていて、持ち物の少ない江戸の俳句師にはぴったりの住まいであっただろう。
 今の感覚で言えば狭い住まいだけれども、家の周囲には庭や植え込みがある。そのため家全体としては決して狭い印象を受けない。
 1月24日から毎朝雪がふった。落柿舎のかやぶき屋根に雪がふりつもった。昼間には日が照ればあとかたもなく融けてしまうのだった。