平成25年 迎春

迎春という字を見ると、鯨春と言う字を連想してしまう。鯨はげいと読むし、意味はくじらである。くじらの春というのも新春にあんがいふさわしいような気がする。こんなふうに思うのは、他には誰もいなくて、きっと自分ひとりだけだと思うけれど。迎春と書かれた文字を年賀状に見るたびに、町のあちこちの商店にかかげられたこの文字を見るたびに、くじらが海を泳ぐ姿を想像してほほえましい気分になった。

もし今、干支を作りかえるとしたら、どんなのがいいだろうか? 気まぐれに考えてみた。

 鯨 クジラ
 猫 ネコ
 犬 イヌ
 鳥 トリ
 白黒熊 パンダ
 象 ぞう
 蛇 ヘビ
 猿 チンパンジー
 梟 フクロウ
 海豚 イルカ
 虎 トラ
 龍 タツ

以上、新干支物語である。

冬のしずけさ

天皇誕生日のきょう、雨が一瞬ぱらついたあと、青空が広がった。どこまでも澄んだ青い空。冷たい風が吹いて、どこかの門に建てられている国旗がはためいた。人どおりの少ない街路にひっそりと咲いている椿の花を見つけた。

バラはすばらしいと人は言う。そのとおりだと思う。けれども、椿だってバラに負けないほど美しいと思う。寒風にゆれる花びらを見ているとき、冬という季節の美しさを、その完ぺきな美しさに心を奪われた。

アイスコーヒー

前々からほしいと思っていたアイスコーヒーを入れる器具を今年初めて買った。プラスチックとガラスの組み合わせの形がきれいだ。アイスコーヒーの作り方は意外と簡単で、熱いコーヒーを入れるときの湯が水に変わるだけである。水を入れたじょうご形の一番上にある容器からコーヒーの粉の容器にぽたぽたと水がしたたる。そこからさらに下のポットにコーヒーがしたたる。

水の落下のようすを見ていると楽しい。幼児なら何時間でも見とれるかもしれない。自分とぽたぽたと滴る水だけが世界のすべてになり、時が止まる。背景にはアサガオの葉が風にゆれていた。

あじさい

あじさいの季節がまだ続いている。花の時期が長いので、しっかりと見ておこうと力まなくていいのが助かる。その色の淡さが美しい。ふしぎなのは、よく似た植物が他にないことだ。バラ科は種類がたくさんあり、それぞれに共通点があるけれど、あじさいは単独である。峰と峰とがつながっていく連峰ではなく、孤高の山のようだ。  

あじさいは実は種類が多い。在来種も外来種もあるようだ。最近の流行もあり、昔見たようなあじさいはもう少なくなっている。

土曜の夜は映画館で

 JR京都駅前の会議室で仕事関係のセミナーを二つはじごしてから、映画館に飛び込んだ。「RED」というまもなく上映終了になりそうな映画を見た。主演はブルース・ウィリス。
「ダイ・ハード」で一躍名を知られた名優である。話のすじは荒唐無稽というか、ありそうもない話で、楽しめた。
 他の俳優さんたちもおしなべて中高年だった。これからは中高年俳優が活躍するのかしらと思った。そうなったら見る方も中高年が多くなりそうだ。
どの場面も美しかった。帰りは電車の終電がなくなりそうな時間で、タクシーを使った。街の景色が映画の一場面のように美しく見えた。

春一番

 正午ころは快晴の暖かな日よりだった。午後2時を回ると強い風が吹き始めた。街路に落ちていたレジ袋が吹き飛ばされている。外を歩くと寒さを感じた。
 春一番という言葉は聞いたことがあっても、これがそうだったのだ。初めての体験だった。

エノキタケ

 エノキタケの切れ端を小さな器に入れて水を満たした。数日がたった。新しい芽が出てきた。残念ながらこれ以上は大きくなってくれない。やはり切れ端を使って自家栽培はむりだった。それにしても愛らしい姿をしている。

ひとり黙々と

 50万部も売れている本。確かに1分間の勉強で頭が良くなるなら、こんなにいいことはない。たとえばある英単語を覚えることを例にあげると、その英単語を一瞬見つめることを何度もくりかえす方がよく覚えられるのだという。
 一理ありそうだ。しかし考えてみると、その英単語に対する興味や好奇心の強さがないと何度見つめてもおぼえられない気がする。
 記憶するには書いてみたり、何度も読んでみたりする一人で黙々とする作業が欠かせない。ずっと昔のことを思い出す。京都大学教授の多田先生がある講演の中でこんなことを話した。
「注意一秒けが一生」というのはヘンですね。注意一秒をずっと続けないといけないわけだから。注意一生けが一生でしょう。
 この話と同じことではないかしら? 1分間勉強をずっとずっと続けないと知識が身につかないのだから。

蝋梅

 郵便局の近くの民家の庭に咲いた蝋梅。蝋はろうと読むので、ろうばいと言う。蝋はろうそくの漢字に使われる。蝋燭になるけれど、りょうしょくとまちがって読んでしまいそうだ。
  鼻を近づけると梅の香りにそっくり。けれど梅ではない。バラ科ではなくて、ロウバイ科。種を植えるだけで育つ。

東京タワー

薄曇りの朝、東京タワー近くから写真をとった。昨日から上京していた。
コートを着なくても寒さを感じないほどの暖かさだった。さすがに
カラスがとまったり、ハトがとまったりすることはないようだ。。