仕事場から近いのと
コーヒーがおいしいのとで
ときどき行く喫茶店がある
昨日は暑さにたまりかねて
午後の空き時間に訪れた
シニア二人の男がしゃべりあっているのが
聞こえてきた
「俺んとこは女房が病気でよう、
3度目の入院をしてるんだ。
いつ良くなるかと聞いても
医者は何も言わない」
「そりゃたいへんだな。見舞いに行ったり
しなきゃならないんだろう」
「見舞いに行くのはわけないさ。俺は
ひまだからね。帰り際がつらいのさ」
「そうだよな。暑さだけでもつらいのに
きみは病人を世話しなきゃいけないから
なおつらいよな」
「本当にそうさ。暑いだけならがまんすれば
いいだけのことだ。そのうち秋が来るんだもんな」
こんな話を聞きながら
今ここにいる夏はいずれは終わって
秋に席をゆずる
その確実さにみょうに感心するのだった