まだ8歳にもならないのに
鮎釣りのうまい男の子がいた
学校から帰りかばんを置くなり
道具をもって川へ走る
家が川のそばにあったら
どんなにいいだろう
男の子はそう思わずには
いられなかった
しかし
今日はまったく釣れなかった
こういう日だってあるもんだと
なかなか思えなかった
肩を落として家に帰った
学校友達というものがなくて
両親が心配していた
男の子は平気だった
野球やゲームに誘われなくてすむのが
うれしかったのである
それに
鮎の釣り方やどこが釣れるか
いろんな男の子からも尋ねられ
丁寧におしえてあげるので
好かれていた
女の子が尋ねることもあった
「お父さんが鮎釣りしたいって言ってるの」
「一緒に連れて行ってもらえないかしら」
次の日曜日
女の子、女の子のお父さんと川へ行くことになった