京都の右京区ではいたるところでセミが鳴いている。夏の盛りである。
窓を開けて車を走らせれば、どこまで行ってもセミが鳴くのを聞けそうだ。
近くの児童公園でも、毎日、セミが鳴いている。
今日の昼下がり、幼稚園か保育園に通っている年頃の女の子が
お母さんと遊びに来ていた。足を止めて、女の子はじっと地面を見つめている。
お母さんは動こうとしない女の子にかたわらに立っている。
何を見ているのだろう?
セミの死骸だった
お母さん、これはなーに?
セミが死んだのよ
こんな話をしていたのかもしれない
女の子は何を理解しただろうか
セミが死んでしまうこと
そして
いつか自分も死ぬこと
お母さんもいつか死ぬこと
女の子が何を感じたのか
そばを通り過ぎただけの私にはわからない