夕焼けの枯れ枝

 冬の夕暮れは早い。
 何気なく枯れ木や枯れ枝と言っているけれど、葉を落としているだけのことだ。枝はしっかりと生きていて、つぎの春が来たら、葉っぱをつける。葉っぱが落ちると、枝ぶりがはっきりとわかる。枝のかっこうは一本、一本、ちがった形をしている。
 遺伝を考えてみるとふしぎだ。枝の形までは遺伝子で決められていないようだ。植わっている土地、土壌に含まれた栄養、風、光に応じて、枝を伸ばしていく。木にもし意志というものがあれば、高く伸びたい木、横に広がりたい木、隣と絡まり合いたい木、ひとりを楽しみたい木、種々だろう。
 比翼の鳥、連理の枝という言葉を思い出した。
白楽天の長恨歌にある詩句で、在天願作比翼鳥、在地願為連理枝が元々の文句である。
天に在っては願わくは比翼の鳥と作(な)らん
地に在っては願わくは連理の枝とならん