楠のある学校

 華道家の池坊保子さんの本に『楠のある家』という1冊がある。楠は日本の中ではいちばん高くなる木だ。常緑樹なので、一年中葉を茂らせている。神秘、高貴、優美を兼ね備えた木である。

 午後、楠のある学校へ所用で出かけた。京都府立聾学校という学校で、仁和寺のちょうど真裏にある。この学校の先生は、当然のことだけれど、手話が上手だ。たとえば野球だと打者のかっこうをする。スポーツは身振りで表現するわけだ。ところでシンクロナイズド・スイミングならどんな身振りをするのだろう?

 楠の木を見上げながら、はるか昔に通った、楠のあるもう一つの学校を思い出していた。