駅の長さよ

 水曜日はいつもなら提携先の診療所の外来診察の日だけれども、休暇をいただいて、はるばる福島市まで日帰りをした。東京駅から東北新幹線に乗り換える。途中、大宮駅を過ぎるあたりから、沿線風景はビル街から田んぼに変わった。青々としたその色に見とれているうち、福島市に着いた。

 この日の午前、福島地方裁判所で、ある刑事裁判の公判が開かれ、無罪判決が出された。午後には福島県の産科医療の現状を話し合う集会がもたれた。集会に出席してみると、たくさんの職種の人々がさまざまな意見を述べていた。

 夕方になる前に、知人の産婦人科医たちと肩を並べて会場を後にして、駅に向かった。

「駅は細長い」
このとき、そう思った。

 線路はほぼ直線だし、連結された新幹線車両の長さも200メートルは超えている。駅のプラットフォームが長く延びるのは当然のことだ。駅を外から眺めると左右に長く伸びている形をあらためて発見したような気持ちになった。

 東京駅だとか、京都駅だと、線路がたくさん並走するので、駅の幅も長くなる。ふだん何気なく見ている駅の風景が新鮮に見えた。