この寒い風の中、木陰にネコが
一匹、じっとうずくまる。
何をしているのだか。
室内には人間のかっこうをしたネコが
一匹、ストーブの前にうずくまる。
辞書を広げて、難しそうな顔つき。
しかし実際には辞書と戯れているのだ。
七草の次に七癖。
七草と七癖とは隣り合っていても何のつながりもない。
辞書の言葉の並びは無意味そのもの。
意味を集めているのに、出来上がったものは
無意味だなんて。
けれども、実用とは何の関係もない、
その無意味さはまるで木陰にたたずむネコの
ように自由だ。