午後に知人が来た。
その人は京都に明治前から住んでいるという人なのだが、
ひな人形の起源の話、
昨今のゆるキャラブームを嘆く話を
ひとくさり
コーヒーをのみ、ケーキを食べて、
立ち去った。
一陣の風のような客であった。
江戸期には船の守り神とされて船倉にひな人形が置かれた。
海難事故から守る、お守りとして。
その後に、女児の健康を願い、厄病から守るために、
飾られるようになったのだそうだ。
話は転じて、この20年、全国各地でゆるキャラがブームになった。
それまでは恐ろしい表情で作られていた人形がおしなべて、
にこやかな表情に変えられていった。
そう言われれば、いつか沖縄で見た、シーサー(獅子)の
顔が前はこわい顔をしていたのが笑顔に変っていた
知人は、ゆるキャラをひとくさり嘆いて見せた。
各地を旅して、こわい顔の人形を
買い集めるのが楽しみだという。
クリニックの近くに、清涼寺という寺がある。
嵐山・嵯峨地域で、ただひとつ、ここにだけ仁王像がある。
山門にはこわい顔の仁王像が左右に二体置かれている。
いつかこの仁王像もゆるキャラに置き換えられる日が
来るのだろうか?