気温が高くなった。冬が終わりへと近づいた。
春が来る。
日本海側のカニ漁も終わりに近づいているのだろう。
小学5年生の女の子が書いた作文を思い出す。
カニの話だ。
「私は山陰地方のカニのとれる漁港で生まれた。
最近になって、京都市内に引っ越してきた。
市場では小さなカニは売れないからという理由で
はね物にされる。地元のお店だけで売られている。
私ははね物のちいさなカニが好きだ。とても
おいしいからだ。
誰からも振り向かれない、あの小さなカニの
ように、私はきちんと生きていきたい。
誰にも相手にされなくて、無視されて、さげすまれても
私はりっぱに生きていきたい。
お母さんと、妹と、私だけの家族で」