入学式の思い出(2020年4月11日)

あまりに平凡な題で

だれもが書ける話だ

けれども

入学式がなかったという話なら

かける人はぐんと少なるにちがいない

これから書くのは

入学式がなかった思い出

1968年4月

覚えている人がいるだろう

東大の入学式が中止されたことを

代わりに学科ごとの入学式が行われた

挨拶に立ったのは

政治学の教授の京極純一氏だった

丸い眼鏡をかけ、すでに白髪交じりの

背広姿だった

「もう一度入学試験をしたら君たちの3分の2は

入れ替わる」

続けて

「君たちに求められているのは卓越性の追求なんだ」

今もこの二つの話は忘れられない。