夢と悪夢と(平成27年1月19日)

かの荘子は夢に蝶となった

この男は夢でどろぼうになった

毎夜毎夜どろぼうを働く夢を見た

とうとう男は自首することに決めた

寝静まった町の警察署へ

男は出かけ、罪を告げた

応対の係官は眠そうな目をこすりながら

被害届もないので

あんたはどうぼうを働いていないと告げる

そのとき男は驚いた

そんなばかなことがあるものか

夜が明けたらもう一度自首しよう

日が昇り町に活気が戻る頃

男は再び署を訪れ罪を告げた

十分に眠りをとったあとのはつらつとした係官は

やはりあんたはどろぼうを働いていないと

言うしかなかった

署から帰る男の目に

朝日を浴びた町のたたずまいは

見たこともないほど色彩豊かであった