かの荘子は夢に蝶となった
この男は夢でどろぼうになった
毎夜毎夜どろぼうを働く夢を見た
とうとう男は自首することに決めた
寝静まった町の警察署へ
男は出かけ、罪を告げた
応対の係官は眠そうな目をこすりながら
被害届もないので
あんたはどうぼうを働いていないと告げる
そのとき男は驚いた
そんなばかなことがあるものか
夜が明けたらもう一度自首しよう
日が昇り町に活気が戻る頃
男は再び署を訪れ罪を告げた
十分に眠りをとったあとのはつらつとした係官は
やはりあんたはどろぼうを働いていないと
言うしかなかった
署から帰る男の目に
朝日を浴びた町のたたずまいは
見たこともないほど色彩豊かであった