思えば遠くへ来たものだ(平成28年2月27日)

山のいただきで

思えば遠くに来たもんだ

鼻唄をムーミンが歌っていると

うっかり遠くへ来すぎたもんだ

とこだまが聞えた

時は夕暮にはまだ遠いのだが

帰らなくては

還らなくては

ムーミンの心にささやくものがあった

 

夕暮までに帰り着くだろうか

ムーミンの胸は不安ではりさけそうになった

谷間の家の台所から

流れてくる夕餉のにおい

食卓のしたくをしているお母さん

家の壁のペンキ塗りしているお父さん

早く会いたくて

ムーミンは靴が脱げたのも忘れて

足を早めた