断片と修復(平成27年5月4日)

心のなかにはもう一人

自分が生きていて

ふだんは表に出てこず

たまさか表に出たがる

そんないきものである

そいつはそいつで

時空を超えて生きているのだ

寝静まった町でひとりきりの夜更けになると

そいつが語り始める

聞かされるのはこの自分だ

たいていは聞かされずともわかりきったことだが

ときに思いがけないことを語る

そうして断片に切断されていた

自分がまとまりのある一つの生命体に

還るのだ