東京の空(平成26年2月1日)

2月1日の早朝、NHKの番組「小さな旅」が放送された。

成田から銀座までJR成田線に乗って重さ40キロの野菜や

食糧を背に50年以上も行商を続ける85歳の老女と、

その老女を助け、助けられる銀座界隈の住人や通勤者との

触れ合いを描いたものだった。

用事のためJRに乗って東京へ向かいながら、番組のことを

思い出していた。

40キロの荷物こそないけれど、収入を得るために上京する

私のしていることは、たっぷりと心に重荷をしょって、

実は行商にほかならない。

行先ですることは品物を売ることではなく、

研修会に参加し、講演を聴いたり意見を言うことだけれど。

あるいはもっと端的に出稼ぎと言ってもいいくらいだ。

まことに人生は旅。

その中でまた出稼ぎのために旅をする。

東京の空は旅人を見下ろしてゆっくりと暮れていく。

飛ぶ鳥の姿は見えず、鳴き声は聞えなかった。