椅子の消えていく街で(平成26年7月30日)

鉄道駅の昼下がり

改札口の近くでは

重い荷物を片手に

高齢婦人がひとり

人待ち顔でたたずむ

見渡しても椅子はなく

鳥の止まり木ふうの

椅子もどきが3つ

金属製の味気ないしろもの

このごろの鉄道駅ときたら

どこもかしこも椅子がきらいなようだ

人の体は変わらないのに

椅子の激変は目をおおうばかりだ

待って待たされ待ちくたびれて

駅に電車が止まるたび

人恋しさはつのりゆく