さびしいときには鉛筆を削ろう
こんな詩を書いた少女がいたのを
思い出した
半世紀も前のことだ
鉛筆を使うのがふつうだった頃
削るのは機械を使ったのか
それともナイフを使ったのか
実体験がないとこんな詩は書けないはずだ
さみしいと
いいあっていたあの頃の自分たち
正月が終わって早くも十日
エア・ポケットに突然落ちたかのように
さみしくなった
ふだん会えない者が相集い
感情がゆさぶられる
感情だって箱に入れられるのだ
箱の中身が引っ張り出される
別れたあとの言い知れぬさみしさ
いっそ会うのじゃなかった
激しい後悔は後の祭り
祭りの後はさみしいと
人は言う
それでも会わずにいられない
年に一度のお正月