正月さみし(平成28年1月10日)

さびしいときには鉛筆を削ろう

こんな詩を書いた少女がいたのを

思い出した

半世紀も前のことだ

鉛筆を使うのがふつうだった頃

削るのは機械を使ったのか

それともナイフを使ったのか

実体験がないとこんな詩は書けないはずだ

さみしいと

いいあっていたあの頃の自分たち

 

正月が終わって早くも十日

エア・ポケットに突然落ちたかのように

さみしくなった

ふだん会えない者が相集い

感情がゆさぶられる

感情だって箱に入れられるのだ

箱の中身が引っ張り出される

別れたあとの言い知れぬさみしさ

いっそ会うのじゃなかった

激しい後悔は後の祭り

祭りの後はさみしいと

人は言う

それでも会わずにいられない

年に一度のお正月