アイコンタクト 猫と見つめ合い(平成26年11月1日)

黒と茶と白

まだらの母猫が前足で

窓ガラスをたたく

山裾の町の音もない夜明け

 

外は寒かろうが

年中同じ毛をまとった体で

餌をねだる地域猫に

見かねた女主人が

前夜の食べ残しのさかなの

しっぽを与えると

子猫が3匹、すばやく寄り集まる

 

地域ネコにとって

朝食の始まりは幸福の始まりである

生きることは食べること

こんなにもシンプル

 

小さな部屋かもしれないが

朝日がさしこんでくる

古びた茶碗だが

そそがれた紅茶の色は美しい

ゆですぎて

半熟卵になりそこねたのだが

卵に向かって文句を言うわけには

いかず眉をしかめて

窓の外を見ると

母猫と目が合う

にっこりとはしてくれないけれど