踏切の手前の
中高生がかよう学習塾
窓の大半は半透明なのだが
一つだけ
自習室なのだろうか
透明の窓がある
そばを歩くたび
ついつい覗き込むのだが
自習室に人がいるのを見たことがない
本棚にはいわゆる赤本
大学ごとの試験問題集が並べられている
あまりの変わりのなさに
なつかしく郷愁をそそられる
問題集から
大学の建物や講義や学生生活を想像することは
受験生にはできやしないだろう
まして
問題集を解きながら
ある日受験会場へ行き
また別の日
その学校へ通うのを
想像することはむずかしい
遠い世界へ旅立つことを
問題集がうながしているとは
知らないでいる
そんな受験生がいじらしい