夏のある日の駅の風景(平成25年10月14日)

すっかり去っていった夏。まためぐってくる来年の夏。

夏はこれからもくりかえしくりかえし、来ては去り、

来ては去る。

3年前の夏の日、所用で、大阪へ行き、

環状線のとある駅で降りた。

初めて降りる駅だったけれど、駅前風景は

これといって目新しいものはなく、マクドナルドや

セブンイレブンが並んでいた。

私の目を引いた光景があった。

駅の改札口で、何気に人を待っているふうの親子があった。

母親と二人の男の子。小学生の低学年と高学年に

見える背丈と顔つきだった。

電車がプラットフォームに到着し、乗降客が動き、

発車していくのがざわめきで知れた。

改札口に、一人の男性が現れた。

片手に大きなボストンバッグを

さげているほかは目立たない、

ごく普通の様子であった。

その男性が改札口を通り抜けたとたん、

二人の男の子がさっと近づき、

男性の両腕にすがりついた。

「お帰りなさい、お父さん」

二人の男の子は両側から父をはさみ、

顔に笑みを浮かべて、

少し離れて立っていた母親のそばに近づいて行った。

この男の子たちはあまり勉強しない子かも

しれないし、整理整頓が苦手かもしれない。

けれども、おそらくは単身赴任でたまに帰ってくる父親が

大好きなことだけは確かだ。