喫茶店風景(平成26年11月16日)

 

毎月、その日になると

決まって現われる高齢男性がいた

注文はホットコーヒー二つ

亡妻の遺影をテーブルに立てて

自分の前に1客

写真の前に1客

コーヒを置いてもらうのであった

 

店員がふしぎに思い尋ねてみると

その店に夫婦連れで

何十回となくコーヒを

のみに来ていたという

 

その習慣を忘れがたく

一人になった今も

老男性はやってくるのであった

店員は哀れに思い

もらい泣きするだった

 

冷めてしまったコーヒー1杯を残し

ゆっくりとした動作で

写真立てをしまい、

二人分の支払をして

店を出ていくとき

店員は後ろ姿を見つめていた