人が歩くのは
まっすぐの道
一直線だと安心していた
よそ見しながら歩いていても
側溝に落ちたり
ガードレールにぶつかる心配はなかった
寄り道だってしたいほうだい
しだいに狭くなっていき
車一台が通れるほどの狭さから
人一人がやっと通れる狭さへ
さらに狭まり
両側の石壁のあいだを体を横にして歩くと
なんと
次は綱渡りが待っていた
人生とはかくのごとし
のんきなのんきな中学生のころ
数学の時間に
直線とは幅のないもの
点と点を結ぶのだが
太さはありはしない
だから架空のもの
こんな話を聞いて
また心地よい
午睡におちいった
まっすぐとはこわいもの
直線とはおそろしいもの
三角でも四角でも
円でもなんでもいい
平らな地面の広がりならどこでもいい
安息の地はないものか