都会に暮らすある女性には
田舎に老親がいた
85歳の老母は
老父の葬儀の日の早朝
畑へ行き
カボチャの種の
交配をすませた
その日を逃せば
来年まで待たねばならなかったのだ
畑が命
という母の前で
自分には命といえるものがあるのか
通夜のあとの頭では
何も思いつくものはなかった
都会に暮らすある女性には
田舎に老親がいた
85歳の老母は
老父の葬儀の日の早朝
畑へ行き
カボチャの種の
交配をすませた
その日を逃せば
来年まで待たねばならなかったのだ
畑が命
という母の前で
自分には命といえるものがあるのか
通夜のあとの頭では
何も思いつくものはなかった