手水鉢のそばを通ったら、つららを見つけた。
竹の注ぎ口と水面を橋渡しするようにできた
まっすぐな棒のような形だ。
中学校1年生の3学期の今頃、
週に1回、習字の時間があった。
回を重ねるうちに楽しくなってきて
心がおどる感覚がうまれてきた。
そのときに書いた字は高得点を
つけてもらった。
けれど、その時が学校で習字を習う
最後の授業だとは思いもよらなかった。
習字の私塾に通って、もっともっと書いておけば
よかった。小さな後悔である。
そう、人生とは無数の後悔の別名なのだ。