蜘蛛の営みは勤勉そのもの
木の枝と枝のあいだを
往復し幾何学模様の巣を
作り上げる
昆虫や蠅がひっかるのを
日がな一日待ち受ける
蜘蛛の営みは忍耐そのもの
自分が作った巣にひっかかる
そんな蜘蛛はおるまいて
人もまた
言葉を使い自分の巣を作り上げる
巣に反応する誰かを待つのである
待っているだけならいいが
言葉は魔法なので
自分で自分の言葉の巣にひっかかる
そんな輩(やから)が続出する
今日もまた
蜘蛛以下というべきか
蜘蛛以上というべきか
せめて道に迷わぬように
われらは今日もまた祈る者である
言葉はまことにやっかいである