言葉は魔法だから(平成28年1月29日)

蜘蛛の営みは勤勉そのもの

木の枝と枝のあいだを

往復し幾何学模様の巣を

作り上げる

昆虫や蠅がひっかるのを

日がな一日待ち受ける

蜘蛛の営みは忍耐そのもの

自分が作った巣にひっかかる

そんな蜘蛛はおるまいて

人もまた

言葉を使い自分の巣を作り上げる

巣に反応する誰かを待つのである

待っているだけならいいが

言葉は魔法なので

自分で自分の言葉の巣にひっかかる

そんな輩(やから)が続出する

今日もまた

蜘蛛以下というべきか

蜘蛛以上というべきか

せめて道に迷わぬように

われらは今日もまた祈る者である

言葉はまことにやっかいである