冬のダイヤモンド(平成28年1月30日)

吉行淳之介氏が書いた小説の題

『星と月は天の穴』の

時代(1967年)から

はるかな時が過ぎて

星と星座について

知識が容易に得られる現代になった

宇宙には果てがあることを

星の数は有限であることを

吉行氏の時代は知らなかったし

現代人は知っている

 

夏逝き

秋去り

今は冬

冬の夜空を見上げれば

シリウス

カペラ

プロキオン

名まえの響きに耳をそばだて

アルデバラン

リゲル

冬のダイヤモンドが瞬く

最後は

ポルックス

 

天文好きの

男の子と女の子が

語り合うことは何もなく

ただ寄り添って

星の沈黙に同調していた