あえて道をきかず(2017年8月30日)

元々用意周到なタイプではないので

行き当たりばったり

道を聞きながら町を歩き回っていた

ところが

道をきかれる側になると

めんどうなものだなあと思うようになった

そこで

簡単には道をきかずをモットーに

することにした

すると

頭を使うようになり

道がわかるようになってきた

妹にこんな話をしてみたら

「そうや こどものころから あんたは方向音痴やった

方向音痴のままで死ぬんかと思てたで」

 

原因はひとつ(2017年8月30日)

昨日も寝苦しい夜だった

そういう夜に限って

夢枕に検者が立ち教え諭してくれる

地球温暖化の自然現象ひとつをとっても

太陽や気温や風や地形など複雑にからみあっている

だから

原因はひとつという考え方には無理がある

地球温暖化だっていくつもの要因が

複雑にからみあっているはずだ

二酸化炭素がただ一つの原因であると説明するのは

原因は一つと考えたがる人間の性癖に合致しているが

真理ではないと思う

どんなことでも原因は一つという意見には

気をつけなければならないと

賢者が言い終わると去っていった

スツール(2017年8月29日)

スツール

二つの意味がある

ひとつは背もたれのない椅子

二つ目はウンチ

こんなにかけ離れた意味を持つのはなぜだろう

今年の夏は暑かった

暑い日々 考え続けた

そして ついにわかった

椅子の座面の真ん中に穴をあけておくと

ちょうど椅子に座って排便ができる

そんな椅子が昔は作られたに違いない

排便する椅子と

ウンチはこうしてつながるわけだ

日本語でもこういう

「うんちはしたの」ときくのはあからさまにすぎるので

「お便所はしたの?」

カラスへお仕置き(2017年7月11日)

むかしのこと

カラスは白い羽をしていました。

朝日を受けて空を飛ぶ姿は

銀色に光り、それは美しいものでした。

ところが人家のゴミをあさり

食べ散らかし

勝ち誇ったように鳴くようになりました。

そこで人々は

カラスにお仕置きをしてほしいと

村の神社に夜ごと夜ごと

お願いしました。

願いが聞き入れられ

カラスの羽を黒くすることに決まりました。

夏になると

カラスの体は熱くなります。

黒い羽が日を浴びて熱くなるのです

その熱さにカラスはあわれな声を出します

ごみあさりもできません

こんなわけで

夏のあいだ

カラスへ山の奥へ

森林の間へ

姿を隠すのです

デザイナー(2017年7月5日)

知人のデザイナーが立ち寄った

こんな話をしていった

君は視認性って聞いたことがあるかい?

もちろん知らないと答えると

つまりね こういうことだよ

見てすぐわかるのが視認性が高いと言うんだ

視認性が一番いいのは漢字

二番目にいいのは平仮名

三番目が片仮名

四番目がローマ字

君の名前が

松島次郎だとしよう

まつしまじろう

マツシマジロウ

matsusima jiro

どうだい?

藤井4段(2017年7月5日)

大阪方面に行く用事があり

電車に乗り、4人掛けのいすに

こしかけられた。

隣席の中年の男が

向かいの席の同じく中年の男と

大きな声で話し合っていた。

いやでも耳に入ってくる。

こういうのをとらわれの聴衆というのだそうだ

しかし話の内容は興味深いものだった。

連勝記録というものはいつかは止まるものだ

14歳からいつまでプロ棋士でいられるかわからないが

生涯勝率の方がずっとだいじな数字だ。

しかし連勝記録はフィーバーを起こすには

もってこいの数字だから報道会社にとっては

とびつくわけだ。

ところで元の記録保持者がテレビに出ていただろう。

名もない6段のプロ棋士だったろう。

そうなんだ。ぱっとしないプロの一人だ。

ということは藤井4段がもしかしたら6段止まりになるかもしれないわけだ

羽生や谷川のプロ棋士になってからの戦績を調べてみればいいのだ

ちっとも報道に出なかったことはたいした連勝記録はもっていないわけだ

これからわかるのは

連勝記録はその後の上達の程度を予想できるものではないこと

藤井4段は6段や7段の棋士で終わるかもしれない

ちらりと恐怖がうかぶ

こんなことは当の藤井少年が一番よく知っているはずだ

目の前の一番だけが将棋人生だ

今ここで生きる

身を以て知っているはずだ

それにしても幼くして打ち込むことを

見つけた藤井少年は幸せだな

オレなんかあっちへふらふら

こっちへふらふら

平々凡々

やりとおしたことは何もない

平凡だって悪くはないさ

電車は梅田駅に着いた

 

 

タガメの俗称(2017年6月25日)

夜のNHKの番組では

タガメの生態を放映していた。

棚田を舞台にしてたくましく

生きるその姿には心を打たれた

父は岡山県出身で

タガメをちんぽ切りというんやと

教えてくれた

農業用の小さなため池が点在する半分都市部では

タガメをメダカの群れとともに

ときどき見つけていた

腰まで水につかりながら

メダカ取りをしていた頃

もちろんパンツもズボンもはいていた

7月のウグイス 8月のクジラ

 8月のクジラという題の映画があった。クジラの季節は冬とかってに思いこんでいた。
そのため、8月とクジラとが結びつかず、いぶかしく思っていた。
この頃、ウグイスの鳴き声を毎日聞く。繁殖期なのだろうか?

 梅にウグイスと言われるように1月の鳥だとばかり思いこんでいた。
今年は3月頃から今にいたるまで、ずっと聞いている。