清貧に生きること
難しいが多くの人が成し遂げるだろう
政治家として生きること
それもまた難しいが少数の人は実現するだろう
一国のリーダーであること
至極難しいが一握りの人は成し遂げるだろう
三つを兼ね備えたのは
ただ一人
フィデルだけが成し遂げた
弁論 戦い 体力 知性
人間のあらゆる能力を開花させ
善に用いた稀有の存在
清貧に生きること
難しいが多くの人が成し遂げるだろう
政治家として生きること
それもまた難しいが少数の人は実現するだろう
一国のリーダーであること
至極難しいが一握りの人は成し遂げるだろう
三つを兼ね備えたのは
ただ一人
フィデルだけが成し遂げた
弁論 戦い 体力 知性
人間のあらゆる能力を開花させ
善に用いた稀有の存在
スマホ片手の旅人は
道をきかなくても迷わない
スマホ片手の旅人は
民家の写真をとりまくる
スjマホ片手の旅人は
立ち止まり自撮りして
しばし自分に酔いしれる
旅人がスマホを駆使するのか
スマホが旅人を駆使するのか
どっちだっていいのだが
どうさつと言うので
それはちがう とうさつが正しい
年のかさが半分もない若者らを前に
断言した
若者らは顔を見合わせた
調べてみると どうさつ
半世紀のあいだ とうさつと読んでいた
洞窟 洞爺湖
胴 桐 銅
どうもあればとうもある
翌日 若者らに
前言撤回 妄言多謝
とうとり、とうとり
繰り返し口に出したのは
著名な病院長であった
卒業はもちろん東大医学部
えらくなりすぎたためであろう
誰も注意してくれる人がいなかった
とーとり、とーとり、とーとり
なぜか笑いたくなった時間であった
ボブ・ディランはうまい歌を作ったものだ
解答ができない問いから
歌い始めて
風がその答えを知っていると
サラリとかわす
決して答えずして終わりへと持っていく
歌だからできること
けれど
解答なき問いはこの世に満ち溢れ
亡霊のように
つきまとう
いっそ
われらも風になりたい
マリンバいうて太鼓かと思とった
あんた物知りなわりに知らんのやな
2メートルもある太鼓があるわけないやろ
バカのところがあるんやな
そうやマリンバカなんや
しかしな
わては物知りとちゃうで
それやったら何や
知ってることをしゃべってるだけや
知らんことはしゃべれんで
知ってることだけをしゃべってるさかい
物知りに見えるだけなんや
そうかいそうかい
それはそうと
チューバを知ってるか
そんなん知らん
そしたら
チューバカやな
渋谷駅の賑わいあるいは喧噪から
電車で6分
降り立つ駅は東大駒場
学園にはつきものの楽器音もなく
なんという静けさ
正門前が袋小路で
クルマが通過できないために
できあがったこの静けさ
けれど静けさにしみじみと
さびしい気持ちにさせられた
カラマツ林どころではない
若者の姿は見えるけれど
ちらほらと見えるのだが
その数の少なさ
講義が終われば交わす口数少なく
めいめいの方向に帰ってしまうのだろうか
学園祭前だというのに
この人影の少なさ
思えば教室と食堂と図書館
これだけが学生の居場所
こんなのでいいんだろうか
東大駒場に来ることはこれからだってあるかもしれない
けれど二度と学生として来ることはできない
当たり前だ
卒業とは後戻りできないこと
構内の片隅にバラがいく株も咲いているのを見つけた
見たこともない珍しい品種らしく
高貴な姿をしている
さびしい風景を打ち消してくれた
ああ 今こそ夕日が沈む
くだんの喫茶店へ行くと
いつものとおり
ジジババがあちこちの
席にたむろして
しゃべくりあっている
聴くとはなしに聞いていると
あのなあ
真田丸見てるか
見てるやろ
真田紐いうて知ってたか
知らん 知らん
そんな紐
まあええねん ともかく紐や
真田が作ったひもなんや
真田紐がどうしたんや
それがなあ
サナダムシいうて 腹に寄生するムシがあるやろ
真田紐に似てるさかい
サナダムシいうんや
そうかいそうかい
真田も虫の名まえになって生きとるんやなあ
小学校の理科の標本室においてあったやろ
ガラスの中にうねうねとしてたやつ
おぼえてるか
思い出したわ 気色悪かったなあ
あんなんが腹にすまれたらかなわんで
ぞーっとしてたわ
そうやあれは学校へ卸に来る業者さんが
売りつけたんやと思うな
生徒をびっくりさせたろ思うて
校長先生が買いはったんやなあ
今どきはないらしいで
そうか
ムシがとれへんようになったんやなあ
一度行かなくちゃ
ならない
近くまで行かなくちゃ
ならないのだ
鉄人28号を見るために
阪神淡路大震災のあと
神戸市長田区若松町
若松公園に設置された
鉄人28号
手塚治虫の漫画の絵とは
かけ離れているように
思うのだが
それはそれでいいのだが
若松公園は住んでいた家の真裏にあった
JR山陽線の新長田駅のすぐ真南、
電車の窓からよく見えている
一度行かなくちゃ
近くへ行かなくちゃ
祖父祖母伯父叔母そして
いとこたち
記憶をよみがえらせるために
行かなくちゃ
ならない