ありふれた朝食(2018年2月17日)

ピーマン2個に

玉ねぎ半個

オリーブオイルでいためて

塩をふる

できあがるのは

ねっとりとそして甘い味わいの

二人分の野菜料理

ありふれた朝の

ありふれた朝食の一品だ

きょうが平凡な一日であることを

予感しながら

ありふれた朝食の時間がすぎていく

きょうという日が

特別な一日にならないことを

言葉にならないような言葉で

願っている

 

伊勢路 はるか(2018年2月14日)

さば街道よりは

高級そうなので

伊勢路を旅することにした

 

鯖には申し訳ないが

伊勢海老の方が上等じゃないか

 

乗り物酔いする身としては

山陰線の横揺れはたまったもんじゃない

伊勢路の近鉄特急は快適にひた走る

 

というわけで

雨の翌日

冬の日に 雪がちらつくそんな日に

伊勢詣でとあいなった

念じることはただひとつ

ただひとつだけ念じることがあったのだ

 

どれほどの時間がたったというのだろう

5歳の自分がその幹にだきついた大木は

どこにあるのだろう

5歳の自分はどこかに行ってしまい

そのお社の

その簡素さが目にしみた

歩くことは生きること(2018年2月14日)

クルマに乗ろうと

運転免許をとった

しかし

クルマを持てずに

紙運転者になっていた

 

時はすぎて

いつのまにか

クルマを運転するようになっていた

 

いつの間にか

自分の車を持ち

日が昇り日が沈み

花が咲き花が枯れるように

玄関を出ると

足はひとりでに

クルマに向かうのだった

 

クルマに乗ることは

生きること

しかし

人が生きるとは

自分の足で歩くこと

両手で荷物を運ぶこと

 

クルマを飛ばすようには

生きられないんだよ

『ローマの休日』(2018年2月10日)

これほど有名な映画を見たのは

最近のこと

そうは言っても父が生前のこと

「初めて見るなあ」と言うと

父はこう言った

「おまえは勉強に忙しかったから

見るひまがなかったんやな」

憐れむかのような口調で

実際いつも追われるかのように

勉強していた

頭のいい人なら短い時間ですむものを

 

グレゴリー・ぺっくはいい俳優だな

ほんとうに

王妃に惚れていたにちがいない

演技ならああはできないな