ランチの後に
コーヒーとデザートが待っていた
失敗さえなければ
銀行へ行った
たまった硬貨を預金通帳に入金
銀行ATMで画面をタッチ
ジャラジャラと
硬貨を投入
通帳が出てくるのを待っていた
いつまでも通帳は出てこず
時間がすぎていく
ATMの向こう側では
数人の行員の話声が聞こえ
やがて一人が現れた
硬貨にクリップが混じっていました
短く告げて戻っていった
故障の原因はそれだったのだ
すいませんと謝り
ATMをあとにした
コーヒーとデザートの時間はなくなり
混じっていたたった1本のクリップを
のどにささった魚の骨のように
見つめた