吉行淳之介氏が書いた小説の題
『星と月は天の穴』の
時代(1967年)から
はるかな時が過ぎて
星と星座について
知識が容易に得られる現代になった
宇宙には果てがあることを
星の数は有限であることを
吉行氏の時代は知らなかったし
現代人は知っている
夏逝き
秋去り
今は冬
冬の夜空を見上げれば
シリウス
カペラ
プロキオン
名まえの響きに耳をそばだて
アルデバラン
リゲル
冬のダイヤモンドが瞬く
最後は
ポルックス
天文好きの
男の子と女の子が
語り合うことは何もなく
ただ寄り添って
星の沈黙に同調していた