土曜日の20日、夕方に大阪へ出かけた。
JR京都線を新快速電車に乗って、30分足らず。
沿線風景にときどき目をやりながら、車酔いを
しないようにときどきは目をつぶりながら。
疾走としかいいようのない猛スピードで電車は
走った。
広い広い大阪駅の地下街を歩いて、目的の
地下鉄の駅から1駅だけ乗った。地下鉄の券売機
の使い方がわからず、切符1枚を買うのに、しばし
とまどう。
着いた駅から地上に上がると、うすら寒く、小雨
混じりの、人通りの少ないビル街を歩いて、目的の
ビルへ。
椅子にじっと座って、話を聞く長い時間が終わった。
帰り道へ。
JR大阪駅から、新快速電車に乗り、京都駅に向かう。
大阪駅を電車が出発するとき、
反対側へ行けば、ふるさと神戸に着くのだと思った。
そうだった、ずっとずっと昔、帰り道は大阪から神戸へ
向かった。
それから長い時間が過ぎた。今は帰り道は逆方向なのだ。
一駅ごとに神戸は遠ざかり、京都が近づく。
三宮の街路、通いなれた学校、住んでいた家。
全部がそのまま残っているのに、自分は逆方向へ
進む電車に乗って、座席にもたれかかり、
母のいない神戸は、もう神戸ではなくなったのだった。