特技があれば
尊敬されるし、頼りにされるし、
他人の役に立てる
自分の特技が何かを発見し
努力を重ねる
10歳になったときには
スタートを切ること
特技があれば
尊敬されるし、頼りにされるし、
他人の役に立てる
自分の特技が何かを発見し
努力を重ねる
10歳になったときには
スタートを切ること
ボールペンを使い終わったら
芯をひっこめる
ハンコを使ったら
朱肉をふき取る
体温と気温が拮抗し
厳しい気象が続く
秋霜烈日なんて言い方を思い出す
気温が体温を抜き去ってしまうと
どうなるか
衣服はかえって長袖長ズボンになっていく
ぶかぶかの衣服の方がずっと
涼しくなる
深夜なのに海を見たい
ただそれだけのためにクルマを走らせた
日本海と入力したら道順はカーナビが決める
国道を走り地方道を抜け
ひたすら走り続け
夜が白むころ
目的地に到着
入江の向こうには水平線が広がり
朝日は雲に隠れていた
6万人のシベリア抑留
その中に父は入っていた
厳寒の地に2年足らず
水の配給は一人コップ一杯ほど
口に含んでうがいをし
うがいが終わると両手に受けて
それで顔を洗った
そう
捕虜同然の者にとっては
水こそ命
定期的にソ連人医師による身体検査が
行われた
素っ裸にして女性医師の前に立たされるのであった
大きなペニスの男を見ると
女性医師がうれしそうな表情をしたという
女も飢えていたのだろう
父は早くに帰国を認められた
やせていたし
私とちがってなかなかのイケメンだったから
女性医師が情けをかけてくれたにちがいない
何十年もたつのに
毎夜水道栓はあいていないか
水は滴っていないか
就眠儀式のように
点検するのであった
水のしたたり落ちていく
一滴一滴を見つめている
ウナギの値段が高騰しているそうだ
そのせいで
今年は牛肉の焼肉をのせたどんぶりを
提供する店がふえたのだそうだ
丑の日が牛の日に
だんだん変わっていく
それを誰も止められない
前かがみになったときに
胃の中のものが口から出てこないのは
なぜだろう
逆立ちしたからと言って
嘔吐しないのはなぜだろう
それはね
胃と食堂の境目には噴門部と
呼ばれる関門があって
ここが閉じられているからなんだ
もし噴門がなければ
大変だぞ
もうすぐ卒業という小学校6年生の終わり頃
どういうなりゆきか
クラス担任の先生に
逆さづりにされた
ここで騒ぐときっと面白がるだろうと
不思議と冷静に読んで
素知らぬ顔をして
逆さづりされたままにしていた
そうすると案の定
まもなく
解放された
帰宅して父にも母にも妹にも
言わなかった
やはり屈辱だったからだ
「おまえこの頃太ったな
それじゃ、ひとつ、体重を測ってやろうか」
こんな流れの、とんでもない成り行きだったと思うのだ
このことを今思い出すのは
今時の学校と父兄との関係の中では
決して許されることではないと思うからだ
教師にとっては
古き良き時代
生徒にとっては
古き悪しき時代だったのである
今日も気温が上がりそうだ
予報では37℃(京都)だという
午後の日差しを思うと気持ちがめげる
朝のうちに出かける用事はすませておこう
まだ8時前だ
そこへ
東京の知人から電話がかかってきた
今月中旬に帰省するから
時間があったら会わないか
いいよと二つ返事で承諾した
ところで
京都は暑いところやなあ
こっちは涼しいで
へえ何度なん
35℃や
急に関西弁になって話が続く
きみはからだが弱いから大事にせなあかんで
水ようけのんどるか
など大きなお世話
しかしだ
35℃が37℃をあわれむのは
目くそ鼻くそを笑う
いや
目くそ鼻くそをあわれむ
だな
ともかくも
目くそ鼻くそには気をつけないとね
一人暮らしはなおさらだ
外出前に点検してくれていた
妻はもういないのだから
妻「投票は何時ごろに行こうかな」
夫「そうだな、早めに行こうか」
妻「9時頃にしようよ。その前に洗濯を終えておくから」
夫「どこに投票しようかな」
妻「どこに入れたらいいの? 今回は」
夫「〇〇党がいいんじゃない」
妻「じゃあ、そうする」
自転車にめいめい乗り、3分ほどの
小学校の体育館へ向かうと
土足対応のシートを歩き
鉛筆で書く
体育館をあとにしてふたたび
自転車に乗って家路につく
投票日の朝はいつもこんな感じですぎるのであった
妻が逝ってしまって初めての投票日を昨日迎えた
投票日の翌日、つまり今朝になって
朝刊を開いたとき
投票に行かなかったことに気がついた
投票日の朝のいつもの語らいがなくなってしまったせいだろうか
暑くて暑くてとぐちを言っていたら
心頭滅却すれば火もまた涼し
と言い返されてしまった
暑さを感じなくなるほど熱中するものが
あればどんなにいいだろう
そういうものがないときだって
夏の楽しみというものがある
たくさんまいておいたアサガオの種が
花をつけ、毎朝,その数を数えた
朝に咲いては夕にしぼむ
毎朝咲き続け、数え続け、
夏は終わった