愛煙家のたまり場となっていた
とある喫茶店
駐車場もあればコーヒー豆の焙煎機もある
またとないコーヒーショップであった
昨今の受動喫煙防止の流れに
ある日をさかいに全面禁煙の張り紙を出した
どこへ消えてしまったのだろう
愛煙家は一人も来なくなった
愛煙家の一群は今いずこ
愛煙家のたまり場となっていた
とある喫茶店
駐車場もあればコーヒー豆の焙煎機もある
またとないコーヒーショップであった
昨今の受動喫煙防止の流れに
ある日をさかいに全面禁煙の張り紙を出した
どこへ消えてしまったのだろう
愛煙家は一人も来なくなった
愛煙家の一群は今いずこ
ネコA 「いやー、この暑さったら」
ネコB 「もうまったく」
ネコA 「ところで人間って丈夫だね」
ネコB 「どうして?」
ネコA 「湯気がたってる道を歩いてるさ」
ネコB 「ホントだ。人間ってしぶといね」
ネコA 「その点、ぼくたりは繊細だね」
ネコB 「昼間は日陰で昼寝、ぼくたちはそれが一番」
かくてネコは日陰で昼寝をし
太陽が移動し日陰が移動するのに
合わせて寝場所を変えるのであった
かなで書いてみる
ひまわり
かたかなで書いてみる
ヒマワリ
またかなで書いてみる
ひまはり
漢字で書いてみる
向日葵
私が好きなのは
ひまはり
牧野植物図鑑では
ひまはりの説明をこう記している
太陽ニ向カイテ廻ルコトナシ
はらはらと花びらが散る感じは
やはり
ひまはりが
ぴったりする
秋が来たら
はらはらと散っていく
向日葵の花びら
はらはらと
流れ落ちる私の涙
ゆるやかな石段を登っていくと
玄関があり
ピアノ曲のレコードが聞こえていた
チャイムを鳴らすと
ピアノの音がとまり
玄関の扉があけられた
家の主がピアノを弾いていたのだった
レコードではなかったんだ
訪問の男は
驚き
異次元の世界へと
自分が引き寄せられているのを感じた
傘がなくてずぶ濡れになった
って話をしていたら
やる気がなくてずぶ濡れになったんだ
という話をされた
傘がないのと
やる気がないのと
どっちが困るか
やる気がないほうがやっぱり困るんだ
新車って
そんなものはないんだよ
そんなはずはないだろ
やっぱり新車ってないんだ
どうして
販売店でお金を支払って
自分の物になったとたん
もう新車ではなくなるんだ
中古車になるんだよ
そうだから
新車を運転したことのある人って
どこにもいなんだ
誰一人新車を運転できないんだよ
植物の名前はやさしく美しく
楚々として端麗である
たとえば合歓の木(ねむのき)
たとえば芙蓉(ふよう)
たとえば白樺(しらかば)
たとえば楓(かえで)
繁殖力旺盛にして
四方八方に種を飛ばし
あたり一面の林を作り
やがて森へと繁茂する
何万年何億年の時間をこえて
生き延びてきた
その強さに目がくらむ
晴れた日であった
青く澄んだ空はどこまでも果てしなく広がる
こんな日が年に一度はあるものだ
ゆったりと流れる川に腰までひたり
鮎の当たりを待つ時間
風はおだやかに吹き
水面は日を浴びてきらめく
こんな時がまたあるかと思うほど
完璧な鮎釣り日和であった
日暮れて川面に夕陽が差すころ
釣り人の姿はもうなかった
釣り人は帰らなかった
外は雨
篠突く雨が窓ガラスを流れる
眼下に広がる入江が見えない
あなたとわたし
窓際のテーブルをはさんで
話すこともなく
ガラス窓を流れる雨粒を見ている
時折の言葉に耳を傾けて
幼き日の魂を感じてしまう
外は雨
篠突く雨
どんな顔にも幼心が見え隠れする
この人はきっと5歳のころ、10歳のころ
こんな顔つきでこんな表情でいたのだろうな
人はなんと年をとらないのだろう