天ぷらそば(2020年9月12日)

まだまだ暑い京都だが、

北海道札幌に住んでいたころを

思い出した。

娘が小学生にあがる前、日曜日には

ときどき近所のお蕎麦屋さんへ行くのが楽しみだった

家族3人が卵そばを食べるのがいつもの習慣だった

ある日、天ぷらそばを注文した。

娘はいかにもおいしそうに平らげた。

それからというもの、お蕎麦屋さんに

いくと、娘はてんぷらそばを食べたいと

言うようになった。

そしていつもおいしそうに食べていた

今もてんぷらそばが好きなのかな

昼夜逆転(2020年9月9日)

地球上のどこかに

昼夜逆転の国があるとして

そこでは他の国々とは異なり

夜に目覚め日中は眠る

どんな不都合もなく

人々は幸福に暮らしているという

各国から昼夜逆転に苦しむ人が

続々と集結しているという

ある若者が日本から かの国に向けて

旅立った。

しばらくは幸福に暮らしていた

夜になるとジョギングやウォーキング、仕事や勉強に

取り組み、食事はおいしく、しかもぜい肉はない

やがて自分の家が恋しくなり

父母の顔を思い浮かべて涙するように

なった

あまりに悲嘆は深く、かの国の

通常の生活ができなくなった

夜は寝て、昼間に目覚めているようになってしまった

そうして

この若者は日本へ

父母のいる家に帰ることにした

帰国した若者は

今は、昼間におきて夜に寝るようになった

谷底に落ちて(2020年9月5日)

私が 45歳のとき

母が逝った

「息子よ、私がいなくなってもあなたは生きていける。

私は逝きます。

ときどき私を思い出してほしい

私はいつもあなたのそばにいる」

私が63歳のとき

父が逝った

「せがれよ、わしがいなくなってもおまえは生きていける

わしは逝くぞ。

ときどきわしをおもいだしてくれ

わしはいつもおまえのそばにいる」

私が68歳のとき

妻が逝った

「夫よ、私がいなくなってもあなたは生きていける

私は逝くわ

ときどき私を思い出してほしい

私はいつもあなたのそばにいる」

頼る人、もたれかかる人が

次々と逝き、

そのたびに光のささない谷底に落とされ

はだしの足ではいあがってきたのだった

食べもの(2020年8月30日)

食べ物はきっと

ただの食べ物ではないんだろうな

これは自分の血となり肉となるもの

ありがたいものと

思って食べるなら

食べることがとても

いとおしく

大切なことと

思える

夕日が沈み(2020年8月30日)

夕日が沈み 気分が沈むころ

自分は

沈んだ気分が好きなんだと

自覚しよう

なぜなら

人は好きなことしかしないから

自覚さえあれば

沈んだ気分から離れられるのだから

ワイシャツ(2020年8月29日)

ノーアイロンワイシャツとは言わずに

形態記憶ワイシャツというらしい。

デパートのワイシャツ売り場には

たくさんの種類のワイシャツが陳列されていた。

首回りと袖丈、たっぷりタイプが

スリムタイプか。

こんな分類で棚に並べられていた。

店員さんにサイズを測ってもらい、

棚のあちこちから取り出してもらった。

ちょうど2019年の1月にユニクロで

ノーアイロンワイシャツを買っていた。

古びてきたので、買い替えしなければならなかった。

サイズが豊富なのはやはりデパートなので

来た甲斐があった。

4点を購入し、わりと重たい紙袋を

下げて、帰途についた。

帰り道、桂川の左岸沿いの道を

車で走っていると、今夜の花火の

準備をしているのが、目に入った。

もうすぐ日没の時間。

どんな花火が打ち上げられるのだろう。

靴下(2020年8月29日)

なぜか月末が近づくと

日の過ぎるのが遅く感じる

得してる気分になる

今日は土曜日、午後、にわか雨が降り始めた頃に

街中へ行くことを決めた。

前々から決めていたのだった

靴下とワイシャツを買うために。

サイズを測ってネットで買うことが

できないわけではないけれど、

電車に乗ってデパートへ行きたくなったのだった