マスクの未来(2020年3月19日)

もし高級路線をとるなら

シャネル、ルイヴィトン、などなど、

高級ブランドのマスクを作ればいいな。

もし世界標準の路線をとるなら

ユニクロのマスクなんていいな。

しまむらのマスクもいいな。

顔をおおう服装を復活させてもいいわけだし。

高校3年生(2020年3月14日)

いつまでたっても

こんなに時が過ぎ去っても

高校生気分が抜けない

卒業式が終わって

することと言えば

教科書やプリントを片付けることだけ

浜辺を歩いて

思うこともなく

繰り返す波と時間が過ぎていく

菜の花(2020年2月3日)

今頃、どこの村の畑のあぜには

菜の花が咲きほこっているだろうな

黄色の花と淡い緑の葉が風に揺れているだろう

都会に暮らす者たちの食卓に

おひたしとなって

並べられる

その苦味、その春の香り

幼い子にも

苦味がわかるのだろうか

苦労多い父親は思うのだった

みかんのマーチ(2020年2月2日)

暖かい午後

風もなく ふらふらと歩いていたら

こんなレモンを見つけた

すっぱいので鳥は実をつつこうとせず

きれいな形でぶら下がっていた

この季節、かんきつ類が次々と産地から

都会のスーパーに届く

みかんのマーチみたいに

不知火(しらぬい) 

清見オレンジ

甘夏 

はっさく

甘くて さわやかで すっぱくて

ひととき

みかんのなかに我を忘れる

一見さん(2020年1月5日)

いちげんさん お断り

紹介のない初めての客は入れません

そういう店のことを

いちげんさん お断り

というそうだ

ちょっと違った意味にもとれる

一回だけしか来るつもりのない人は

お断りします

何度も通ってくれる客

ひいきにしてくれる客

そういう客を求めています

って意味ではないかしら

しかし一度も行ったことがないのに

何度も通うことを先に約束するって

無理なんじゃないか

こんなふうにも思う

よく考えてみたら

学校とか会社とか

入ってみるまではわからないはずなのに

ずっと居続けることを先に約束するところだ

結婚だって

ずっと添い続ける約束を先にしておくものだ

人生とは

こういうものなのかな

面接必勝法(2019年12月2日)

秘訣は3つ

一番目
面接担当者を信じること
初対面だから信じるも信じないもないと
普通は思うだろう
しかし 初対面にもかかわらず信じること

二番目
今、目の前にいる面接担当者は必ず
正しい判断をしてくれると信じること

三番目
もし面接試験合格なら喜べばいい
もし不合格なら
それでも喜べばいい
きみはこの会社では活躍できないよと
親切にも教えてくれたことに

鼻をなめられて(2019年10月14日)

夙川河口の近く
浜風が窓のカーテンをゆらす家に
その男は住んでいて
豪雨で流されてきた
猫2匹を飼っている

豪雨の翌日
どうやら生後1週間ほどだったので
牛乳を与えて育てたのだった

ある年の暮れ
知人から喪中はがきが届いた
妻に先立たれたことを知り
なんだか悲しくなり
自分の妻にこんなことを語ったという

「おれなあ、きみが先にいったら
ずっと落ち込んでると思う」
帰ってきた返事は
「あなたなんて、1週間したら
けろっとしてるわよ、きっと」

これを聞いて
男はもっと悲しくなり
次の朝
ふとんから出れなくなった

そのとき
ねこがきて
男の鼻をなめた

そのあと
男は鼻の頭を
こすりながら
明るい光が窓のカーテンの
向こうにさしたのを
目にとらえた

朝起きて(2019年10月14日)

朝起きて
顔を洗って メシ食って
カバンを持って
学校に行く

こんな短歌を作ったら
いけないよ
あたりまえじゃないか

灘中国語の橋本先生は
強い口調でこう言った

あれから半世紀の時がすぎ
時代は変わり人も変わった

今ならこの短歌を
読んで涙する人がいるだろう